相続・贈与税


連邦遺産税

日本での相続税にあたるものはアメリカでは遺産税といいます。まずは日本の相続税とアメリカの遺産税の違いをみていきましょう。日本では相続税の支払い義務があるのは相続人、財産をもらう側ですが、アメリカでは被相続人、亡くなった本人が遺産税を納める必要があります。そして日本では課税される財産は相続人の取得した財産に対して課税されるのに対し、アメリカでは被相続人の財産を基準として課税されます。基礎控除額も日本とアメリカで異なります。日本の基礎控除額は3,000万円 + (600 万円 × 法定相続人の数) ですが、アメリカの2022年の基礎控除額は1,206万ドル (約15億円) になります。手続きとしてはプロベイト (遺産検認) というプロセスがあり、州の法律や遺言に則り財産の分配が行われます。このプロベイトは時間や費用がかかるため、これを回避するためにリビングトラスト (生前信託) を専門の弁護士に作成してもらうことも可能です。リビングトラストにより、遺産相続をスムーズに行うことができるので、専門家に相談されることをおすすめします。

連邦遺産税の申告

米国遺産税の申告は被相続人が税務上日本の居住者であるか米国居住者・米国国籍であるかによって異なります。被相続人が日本の居住者(米国非居住者)の場合、Form 706-NAという書式でIRS (内国歳入庁)に遺産税の申告をすることが必要になります。米国非居住者の課税免除額は60,000ドルで、財産の評価額の18%~40%が課税されます。アメリカ国内の遺産60,000ドル以下であれば申告の必要はありません。被相続人が米国居住者・米国国籍の場は、全世界に保有している遺産が1,206万ドルを超えた場合にForm 706という書式で遺産の申告をする必要があります。1,206万ドル以下であれば申告する必要はありません。Form 706-NAもForm 706も被相続人が死亡した日から9か月以内に申告をしなければなりません。Form 4768を提出することにより申告の期限を6か月延長することができます。ただし、税金の支払いは延長できないので、税金が発生する場合は、延長申請とともに仮計算した税額を納付する必要があるため注意が必要です。

Living Trust (生前信託)

カリフォルニアの州法ではアメリカにある遺産が10万ドル以上ある場合は、原則としてその遺産は裁判所の検認 (Probate) を受ける必要があります。被相続人が亡くなった時点で遺産は遺産財団に移転され、その遺言執行人、代理人あるいは管財人によって検認を受け相続人が確定し分配されます。一般的にこの手続きは弁護士に依頼をするので、弁護士費用がかかります。最低でもこの遺産手続きに半年はかかってしまいます。さらには被相続人が希望していた形で遺産が分配されないケースもあります。しかし生前信託を作成しておけばこのProbateを回避することができます。時間とコストを抑えて、被相続人が意図した形で相続が行えるようになります。

連邦贈与税

米国の贈与税は日本の贈与税とは違い、贈与した人が贈与税を支払います。贈与税の対象は米国非居住者が米国内の有形資産 (不動産、現金、ジュエリーなど) を贈与したときに課税されます。無形資産 (株式、債券、著作権など) は非課税になります。そして贈与する人、一人に対して2022年では年間で16,000ドルまでが非課税です。16,000ドルを超えた場合はForm709をIRSに申告する必要があります。贈与した翌年の4月15日までに申告する必要がありますが、Form 8892を提出することにより申告の期限を6か月延長することができます (Form 4868を提出して確定申告の延長申請をしている場合、Form 8892を提出しなくても自動的に6か月延長となります) 。学費や医療費、政治団体への贈与は16,000ドルを超えた分も非課税になります。日本の居住者が16,000ドルを越えるアメリカの不動産を、日本に居住してい息子に贈与した場合、贈与した本人はアメリカでForm 709を申告する必要があります。日本の居住者である親がアメリカの居住者である子供に日本の財産を贈与した場合、米国居住の子供は贈与額が10万ドル以上であればForm 3520という書式でIRSに贈与を受けたという報告をしなければなりません。一方で、米国居住者・米国国籍の方の場合、贈与税・遺産税の生涯非課税枠があり、贈与を上記の非課税枠 (16,000ドル) 以上で行った場合の累積金額と、死亡時の相続金額の合計額の非課税枠が米国の連邦税制ではあり、2022年度の金額は、1,206万ドルです。贈与の年間の非課税額 (16,000ドル) を超えて、かつ贈与税・遺産税の生涯非課税枠 (1,206万ドル) を超えた場合に、贈与税を支払うことになります。実務では、年間の贈与の非課税枠 (16,000ドル) を超えた贈与があった場合にForm 709で贈与税の申告を行います。この申告を行い、生涯非課税枠から課税分の贈与額を減じて、記録をとっていくことになります。